モンターグの貸出票

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ラフスケッチ

 晴れやかに雲ひとつなく清々しいまさに完璧と呼ぶに相応しい青一面の空が汚れのない海に同じ色を映し出して間に挟まれたわたしの視界に映る浜辺はこの春先であってさえ夏を感じさせる爽やかさのカラッとした空気に溶けない全裸の同級生がこちらにやってくる。わたしは言った。
「何やってんのお前!」
「は?え?ヌーディストビーチちゃうの?」
「見れ!まわり見れ!ヌーディストビーチちゃう!ここはヌーディストアウトビーチ!」
「うそん!?早よ言うてや!」
「いやいや!来ていきなりヌーディストビーチ前提の潔さよ!新人女優の決意表明か!?」
「せやかてわたしもう脱いでしもたがな」
「とりま着替えてこいや!」
「そら無理よ。だってヌーディストビーチや思とったさかい水着持ってきてへんもん」
「アホtheアホやな!んなもんどこにも書いてへんかったやろ!ちゅか隠せや!恥じらえ!何堂々と仁王立ちこいとんねん!」
「今さらもういっぱいおっぱい見られてしもたがな」
「大事にしてー!ご自愛くださいご自愛ください!」
「あんたも脱ぎな。きもっち、ええで!」
「何が『ええで!(その瞳の輝き、ヘップバーン)』やねん!いやじゃボケぇ!わたしはお前みたいに頭腐ってへんねん!」
「ヘイ!ガール!」
「やばいポリや。現地のポリや!逃げるで……ってお前何立ち向かっとんねん!ロトの志か!?」
「ドゥユアンダスターン?ハアン?」
「イエス、イエス、イエスノー枕!」
「イエスノー枕!ノンノンチチチユアギルティーやで!あんた!」
「アーユースピークインギッシュ?」
「インゲン?オウオウ!インゲン豆!」
「乳首!それノットインゲン豆!」
「オウ!ユアーアンダーアレスト」
「アンダーバスト?セブンティーン!」
「70はセブンティー!アンダー17はワールドカップでノットカップ!」
「エントレイニング!」
 同級生はそのまま連行された。裸婦を乗せたパトカーはサイレンけたたましく、残されたわたしは海へ走り出す。水がしぶき体を濡らす。国内旅行にすべきだったと。
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