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モンターグの貸出票

返却期限を過ぎました。

ビビアンドスーザン(予告版)

創作
 神田尾々(かんだ びび)イズグレイトフルデッド。スーパーゴーストカミカゼアタック、街の地縛霊。
 斉藤スーザン蝶胡(さいとうすーざんちょうこ)イズシャーマンモダンタイムスイズフェイク。エロイムエッサイムエコエコアザラクテクマクマヤコン揖保乃糸
 二人の出会いは唐突だった。スーザンが雨降るアーケード街の入り口でずぶ濡れになりながら水晶を擦っていると電信柱の陰に白い靄を発見する。それこそこの街に長くから存在する古の精霊ウソカマコトカであったのを新参の地縛霊神田が始末した瞬間だった。この際これ以上ウソカマコトカの説明は不要である。何せ最早この世にそんなものは存在しないのだから。スーザンは少し嬉しかった。自分には霊感もなければ霊能もない。どちらかと言えば所謂詐術の人である自分に初めて訪れた心霊体験であったから。神田が古霊を吸い込むとちょっとだけピンクに光って再び透明に戻ろうとした。
「ちょと待って!」
「はあん? 」
「あなた幽霊なんでしょ?私のゴーストがそう言ってる」
「失せろ豚!いや、失せたいのは俺か……失せるから失せろ豚!角煮!ラフテー!」
「待って!話を聞いて。私は見てのとおり占い師です」
「山でトリュフ掘ってろカス!」
「山でトリュフ掘って儲けたいわ畜生!そうじゃなくて私と儲けませんか?」
 スーザンは愚かしくもこの凶暴な霊を使役しようと試みた。千載一遇の機会と見て人生一念発起のターニングポイントと。
「俺には最早金銭の概念など必要ない!死ね!いやお前みたいなのと同列はやだな……生き続けろ豚!」
「豚豚うっさいわ!ぽっちゃりだわ!おねしゃす!私、もう米粒数えて炊くのヤなんです!」
「……」
「お金以外に欲しいものはないんですか?」
「……」
「私がそれを代わりに調達しますから」
「……」
「……」
「……」
「オイコラ!成仏の準備始めるんじゃねえ!!」

 スーザンは上手くいくと思った。そうでなければならなかった。しかしながら思った方向には行かなかった。ただ少なくともスーザンはこの口の悪い地縛霊のことをずっとずっと忘れないだろうと思った。それだけ二人の時間は彼女にとってかけがえのないものだったから。