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モンターグの貸出票

返却期限を過ぎました。

スピーチ

創作
「えー、ユウマくん、ヒロコさん、この度はご結婚、まことにおめでとうございます。僭越ながら友人代表として選んでいただき恐縮の極みでございます。ですがこの門出をお祝いするにあたり精一杯の気持ちをしたためてまいりましたので、どうかおひとつご静聴願いたい次第で御座います。私、横峰リョウヘイは新郎、鏑林ユウマくんとは竹馬の友でありまして、と言っても竹馬なんて殆ど乗った記憶がないのですが、それはさておき小学生の頃のユウマくんと言いますとそれはそれは大変優秀な生徒でありましてテストは毎度の如く満点、先生や同級生からの信頼も厚く委員長を六年にわたって勤め上げた猛者サウルスです。そういうまさに鉄壁の正義たるユウマくんのお茶目な一面を紹介したいと思います。彼にはパワースポットと呼ばれるベストプレイスがありました。親しくあった私は彼に呼ばれてそのパワースポットなベストプレイスに案内してもらった時のことを今でも憶えております。それは北校舎から南校舎への渡り廊下が走るその真下。その渡り廊下は網状の作りになっており、ユウマくんは誰より早くその有用性を見抜いたのです。天を仰げばその網の隙間から渡り廊下を歩く人たちの本来見ることの叶わぬ角度からの景色が広がっておりました。そうですね、例えて言うならサイゼリヤサイゼリヤの天井壁画を思い浮かべてみてください。あのリーズナブルなお店にあって異質の神々しさ。私はその渡り廊下の真下から見る景色とサイゼリヤの天井壁画を重ね合わせました。ありがとうユウマくん、世界はこんなに広いんだね。私は感謝してもしつくせぬ思いでした。それから月日は流れ別々の学校へと進学した私たちでしたが、社会人として再会したとき涙がこぼれ落ちそうになったことを今でも思い出します。久しぶりだなリョウヘイ、彼の声はすっかりと大人びていました。いいとこあるんだ行かないか?時系列を追えばすでにヒロコさんと交際中であったユウマくんが案内してくれたのは夜の国際大使館。ユウマくん、僕は何が何だかわからないよ。リョウヘイ、俺たちはフィリピン親善大使だ。ユウマくんの言葉の一つ一つには重みと優しさがあり僕は安心してそのお店……国際大使館に足を踏み入れました。それからも何度となく楽しい楽しい異文化コミュニケーションを重ねた僕たちでしたが、今日、晴れてご結婚されるユウマくん、ヒロコさん、本当におめでとうございます。Ang Pilipinas ay magandang bansa!(訳:フィリピンは素晴らしい国です!)」


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