読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

モンターグの貸出票

返却期限を過ぎました。

きょむクモッ?

 僕の名前は蟻吉紳爾(ありよし しんや)。都立氷沼高校二年生。時をときめく華に無敵のセブンティーン。最近目が悪くなってお母さんと眼鏡を買いに行ったよ。
 ……さて、本題はここからです。今、あなたがお読みになっているこの『きょむクモッ!』と名打たれた物語に憶えがあるならば旧い読者かと思います。嘗ての僕は蟻吉紳爾などという名前ではなかったでしょ?ということをお知りのあなたです。お尻の穴?違います。なぜ僕が今こうして蟻吉紳爾などという名を冠してここに舞い戻ってきたか?先ずはそれから語らねばなりますまい。『きょむクモッ!』は以前、その名のままに確かに存在した物語でした。僕はそれなりにその物語の中で他の登場人物達と愉快に躍動していたように思います。筋だけを追えば高校を舞台にした殺人事件と決して穏やかなものではありませんでした。ですがそれはあくまで下地であり、本質は僕達、きょむクモのメンバーの青春群像でした。共に笑い共に泣き、いつしか一つになった心が真実に辿り着く。やがて全てを知ったとき、僕は何を思い何を願い何を祈ったか……みたいなことが描かれる予定でした。しかしそれがなぜ完遂されなかったか。僕、そして彼女達は一体どこへ行ってしまったのか。そうそれこそがまさにきょむクモッ!の元ネタと言わずもがなである虚無への供物という言葉へのオマージュだったのです。僕達はまさに供物として次元の狭間で消滅しました。記事を削除しますか?はい、これだけで完全に消え去ってしまったのです。そうです。飽きたんです。めんどくさくなったんだよこの野郎!ミステリって難しいなオイ!おら嘗めてたぞ!あー、こりゃ畳めんわ。あー、無理な感じなー。あー、素麺くいて。というわけで頓挫した物語は飛び散ったミートソースかカレーうどんという具合に疎ましいシミとなり神の一手で削除されたのでした。
 さて、では何故、僕がここにいるのか?まさか同じ轍を踏むためにやって来たのか?生粋のマゾヒズム、痴態晒して大歓喜か?いや、違います。ぜんぜん違うね。ぜーんぜん違うぞ!違うっつってんだろ!やはり良くないと思った。何でもそうだけれど途中で投げ出すのは良くないと。どんなに惨めであろうとなにかしらケリをつけてやらねば生まれてきた意味すら見出せないまま時の狭間を彷徨って忘れ去られてはいバイバイ。だから僕は帰って来た。デバッグルームで設定を弄った。名を変えてこうして都立氷沼高校に帰って来たのだ。さてさてきょむクモの他のメンバーはどこかな?
 僕が教室の扉を開けるとそこにみんないた。僕は何だか涙が込み上げてきた。
「……お久しぶりです!スプリンター先生!ミケ!ラファエロ!ドナ!」
 ってことは僕がレオナルドかな?さあ!ピザは食ったか?準備はいいか?覚悟しやがれフット団!俺たちミュータントタートルズ

百円ください。
そしたら近々真面目にやります。


広告を非表示にする