モンターグの貸出票

返却期限を過ぎました。

頬杖ガーゴイル

 昼下がり。

「見た?畠田のやつ。あいつ石みたいに固まっちゃってさ!あははは」

「あれウケたよねー!ぜってー童貞!童貞けってー!」

メデューサ……や、コカトリスもしくは原生たるバジリスクか」

「……ミナト?」

「石化でしょ?石ということであればメデューサの可能性大だわ。メデューサならアイギスの鏡不所持は禁物ね。でも石というか単に絶命したのならバジリスクの邪眼という結論も見出せる」

「単に絶命?」

「どちらにせよ危険な存在が校内に潜んでいるわね。あなたたち近くにいたんでしょ?見なかった?蛇のような頭をした女、もしくは鶏頭のヤマカガシ」

「ミナト?わかんないよ。てか畠田は死んでないから。ちょっとからかっただけというか」

「あなたたちがやったの!?え?あなたたちメデューサなの?え!?」

「待って待ってミナト!違うから!メデューサとかわけわかんないよ!幼稚園から一緒じゃんウチら」

「そ、それもそうね。あー……びっくらこいたー」

「……」

「でも恐ろしいわ。畠田くんのこともそうだけど、この前運動場にオルトロスが入ってきたでしょ?」

「え?」

オルトロスよ!ケルベロスの弟!エキドナの子!」

「もしかして迷い犬のこと?」

「犬?犬ですって!?あなたたちあの禍々しいオルトロスが犬ですって!?」

「いやいやいや、雑種じゃん!雑種の犬だったじゃん!みんな触ってたじゃん!」

「触ってた?ああ!だから魔が伝染したんだわ!メデューサと化したんだわ!やべえ!京都で買った手鏡しか無え!」

「落ちついてミナト!どうしちゃったの?メデューサとかオルトロスとかわけわかんないよ!」

「かくなるうえは石となりてガーゴイル

ガーゴイル……」

ガーゴイルとして生きていくわ」

ガーゴイルって何?」

「はあ?あなたたちの無知さには呆れるわ!ガーゴイルは彫刻の雨樋よ!雨樋だけど動き出して人を襲うわ!でも私は石化してガーゴイルになってもパリのノートルダム大聖堂のやつみたいに『あーー、あの人も私のこと好きかな……?』みたいな風情の青春を醸し出していきたいわ!ひゃあああああああ!」

「全然わかんないよ!ねえミナト!やだよ!前のミナト帰ってきてよ!怖いよなんか!」

「ごめん……私どうかしてたわ。本当にごめんなさいね。抜きたてのマンドラゴラかバンシーかって金切り声あげちゃってみっともないわね」

「バンシーわかんないけど、私たちが出来ることはするからさ。だからミナトはいつものミナトでいて!ね?お願い!私たちミナトのこと大好きだよ!」

「あなたたち……うわーーーん!!もう私ガーゴイルになるとかいッグ、い、言わないから、ばああああ!」

「ひっぐ、ひっぐ、おがえりミナトーーー!!えーーーーん!!」

 

「……畠田、おまえマジであんなのが好きなん?」

「え?めっちゃ友達思いじゃん。そこがいいんだよなあ」

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