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モンターグの貸出票

返却期限を過ぎました。

ジョン・コナーの初恋

創作

 従姉妹のシュワちゃんが結婚する。シュワちゃんとは年も六つ違いで、俺からしたら大人のお姉さんという印象があった。それでも実家同士が近所だったので子供の頃は一緒になって遊んでいたこともある。水鉄砲を撃ちながら屈託のない笑顔をしていたシュワちゃんを俺は今でも覚えていた。

 上京が決まり実家で荷物をまとめていたところにシュワちゃんが訪ねてきて「寂しかなるね」と俺に言った。俺は「シュワちゃんもたまには遊びに来んと?」と誘ってみた。シュワちゃんはニコッと笑って、その時は案内よろしくみたいなことを言った。俺はこの時、シュワちゃんが近くにいない生活を想像して、引越しも終わらないうちからホームシックを感じていた。兄弟のいなかった俺にとって、シュワちゃんは実の姉のような立ち位置にいて、でも家族とはまた違った距離感があって、つまり俺はシュワちゃんが好きだった。

 どうにもならない、ということを何時間も考えて悶々としながら過ごした時期を越えて、すっかりシュワちゃんの影がちらつかない生活も当たり前になってきた今日この頃、俺はシュワちゃんの結婚式に参加する。民子姉ちゃんがターミネーターになって最終的にシュワちゃんになった。今考えるとバカバカしくてかえって可笑しくなるけれど、シュワちゃんはやっぱりシュワちゃんだった。控え室に案内してもらった俺は花嫁姿のシュワちゃんをみてちょっと悔しくなった。

「たっくん、おかえり」

「あいるびーばっく」

「なに言いおっと?もう帰っちるじゃなか」

 シュワちゃんは笑った。確かにそうだ。だけど俺が言いたかったのはそういう意味合いにおいてではなくて、でもそんなことどうでもいいくらいにシュワちゃんの笑顔が、あの水鉄砲振り回してた頃、初恋の俺が見たそれとおんなじだった。