アントーニオの肉一ポンド

返却期限を過ぎました。

汗をかいて濡れたワイシャツ、冷房に冷やされて

 日曜日は午前中から昼過ぎまで仕事で、それが終わったら帰ろうと思っていたがせっかく外に出たのだからと本屋に寄ることにした。ある古本屋でジョン・ヴァーリィの短編を二冊買う。新刊書店でも買えるものだったがそのために移動する気力もなかったので。

 最寄りのハンバーガーショップで寝ぼけ眼をこすりながら最初の一篇「ピクニック・オン・ニアサイド」を読んだ。肉体改造技術が発達し、性別、容姿のみならず精神までもが入れ替え可能になった世界。最早人が人たる意味とはなんだろうといった中で、それでも人間とはみたいなロマンチズムを説く。一言でいうとそんな話だった。なんとなく市川春子の絵がハマるような気がした。

 飲むものといえば専らお茶を選ぶようになったがファストフードを食べようと思うとコーラを選んでしまう。久しぶりに飲むとそれは思ったより甘くない。炭酸の刺激に誤魔化された糖分はするすると体中を巡る。コップの水滴は指先を濡らし、捲るページを湿らせる。ただ一篇を読んだだけなのにひどく疲れて少し寝てしまった。流石に夢は見なかったが、その十数分間を後になってとても長く感じた。